廃棄された「1991年におきた札幌両親強盗殺人事件」札幌家裁本庁(番号1)

平成3年に札幌市北区内の道職員夫婦が殺害され、遺体が同市東区中沼町の原野に遺棄された事件

【事件概要】

1991年11月22日に北海道札幌市北区で発生した強盗殺人事件であり、実の娘が男と共謀して両親を殺害した事件である。

【事件の経緯】

犯人の男X(犯行当時24歳)と女C(同19歳)は1991年の5月頃に知り合い、その後8月からXの部屋で同棲を始める。Xはイベント会社社長、Cは大学1年生であった。ほどなくしてXの会社経営は行きづまり、当面の生活費にも困るようになる。Xはほとんど仕事をせず、Cのホステスとしての収入で生活していたという。 その後Cの父親Aと母親Bに二人の居所を突き止められたため、強盗目的に加え邪魔な存在を消すため、XはCに両親の殺害を提案。Cもこれに同意し、11月22日未明AとBの自宅に侵入しAとBを包丁で刺すなどし殺害。翌年1月6日まで(裁判では12月17日までと認定された)に保険金を解約したり、AとBの自宅にあったものを売り払う等で計680万円(裁判では458万円余と認定された)を得ている。また、12月1日にはAとB遺体を車ごと燃やし東区中沼町の

湿地帯の地中に遺棄し、自殺に見せかけるため偽の遺書を作る等隠蔽工作を行ったが、1月26日にAとBの遺体が発見されその日の夜にXとCは逮捕された。

【裁判 】

XはAとBに対する強盗殺人罪・死体遺棄罪、および詐欺罪などで起訴された。また、Cは当時まだ未成年であったため、少年法によりAとBに対する強盗殺人罪などで家庭裁判所に送致されたが、「刑事処分相当」として検察に逆送致する決定がなされ、起訴されて刑事公判が開かれた。

 裁判ではどちらが主犯か、またCはAとBの殺害に直接手を下したか否かが争点となり、XとC双方の主張はことごとく食い違った。

Xは犯行はC主導で行われたと述べ、Cは逆にXが主犯であると主張した。また犯行当時Xと肉体関係にあった人妻4人がXから亭主を保険金目当てで殺害することを提案されたと供述したが、Xはこれを全面的に否認した。

Cは「犯行に応じないとお前の裸の写真をばら撒く」等とXに脅されたと供述したが、警察が押収した物品の中にはそのようなものはなかった。 XとCの審理は、Cが家庭裁判所に送致された後に逆送致され起訴されたことなどから、それぞれ別の裁判体(分離公判)によってなされた。

【Cの裁判 】

 CはAとBを殺害したことを認めたが、「首謀者はXであり、CはXからの洗脳及び行為支配により心神喪失に陥っていた」と無罪を主張する。

 裁判では精神鑑定が実施された。精神鑑定を担当したのは福島章教授であった。

札幌地方検察庁はCに対し、2人の生命を奪った結果は重大だが首謀者はXでありCはXに従属的であったとし、無期懲役を求刑した。 札幌地方裁判所はC側の無罪主張を退け、Cに対し無期懲役(求刑・無期懲役)を言い渡した。

Cは判決を不服として札幌高等裁判所に控訴した(検察側は控訴しなかった)が、後にXの無期懲役判決に対し検察側・X側の双方が控訴したことによりCとXが同一裁判体(統一公判)で審理されることになった。

両親(AとB)に償いをしたい、などの理由から、Cが自ら控訴を取り下げ、無期懲役の一審判決が確定する。

【Xの裁判】

  XはAとBを殺害したことを認めた。だが、Cが利欲目的及びAとBに対する感情的反発からAとBの殺害を発案し、XはCとの愛を失いたくないとの思いから追随的に犯行に加わったものであり、首謀者はCであると主張した。

札幌地方検察庁はXを首謀者と位置付け、重大な結果を生じさせながらCに責任を転嫁しているとしてXに死刑を求刑する。

札幌地方裁判所は2人の生命を奪った結果は重大としながらも、判決時にすでにCに求刑通り無期懲役が言い渡されていたことから、「共犯者間の刑の均衡」の観点を考慮し、Xに無期懲役(求刑・死刑)を言い渡した。

検察側は死刑が回避されたことを不服とし、X側はCが首謀者と認定されなかったことを不服として、それぞれ札幌高等裁判所に控訴した。 札幌高等裁判所は検察・X側双方の控訴を棄却。無期懲役の一審判決を支持した。 検察側は量刑要素の評価を誤った死刑基準違反であると主張し、最高裁判所へ上告した。 最高裁判所は死刑を求めた検察側の上告を棄却。Xの無期懲役が確定した。

【その他】

遺体は焼け焦げており激しく損傷していた。実際にCが手を下したかは損傷が激しく不明である(Xは、BについてはCが刺したと主張しているが、CはA・B共にXが手を下したと述べている)。

XとCは同棲生活中に二体のドナルドダックの縫いぐるみに「プハ」「プハプハ」と名前を付け4人家族を擬した生活を送っていた。

Cは「Xに性的暴行を受けていた(Cによれば性器に野菜を挿入する、自分の尿を飲まされる等)」と主張したが、Xはこれを否認し「Cは軽いノリの女だった」と供述している。

実際に、Xの裁判でCのこの主張が完全に否定されたために、Xは最終的に死刑を免れることとなった(なお、その時点でCの判決は既に確定済みであった)。

【参考文献 】

 『新潮45』2001年1月号

(Wikipediaより)

【調査結果】

 担当職員が廃棄目録の作成、廃棄対象記録の抽出をしていた。廃棄目録には、事件番号、記録冊数の記載があった。その後、上司が廃棄目録と事件記録を突合し、事件簿や記録表紙で事件番号、終局日、保存年数、生年月日を見て確認していた。

廃棄の決裁では、当該上司が廃棄目録等の起案をし、複数の管理職の決裁を受けており、2項特別保存に付さずに廃棄するという意思決定に所長の関与はなかった。決裁の際、管理職の1人は、保存期間が満了しているかどうかに留意し、特別保存が必要なものが廃棄目録に登載されていないかの確認はしていなかった。 管理職の1人は、保存期間を満了した記録を適正かつ速やかに廃棄することが大切な事務フローだと思っており、少年事件は非公開のため、民事事件に比して2項特別保存の要否を検討する意識が希薄であった。

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